現在、学生の2人に1人が奨学金を利用しているといわれており、奨学金を利用する学生の数は増加しています。本記事を読まれている方の中には奨学金について興味はあっても実際に借りるべきなのか悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では奨学金の基本的な概要や利用目的などについて解説していきますので、是非最後までご覧ください。
奨学金を利用している学生の割合

現在、学生の約2人に1人が奨学金を利用しているといわれています。
日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査」によると、奨学金を利用している学生の割合は以下のように報告されています。
- 大学(昼間部): 55.0%
- 短期大学(昼間部): 61.5%
- 大学院修士課程: 51.0%
- 大学院博士課程: 58.9%
- 専門職学位課程(幅広い分野の学士課程修了者や社会人対象): 41.4%
また、平成30年度からのデータと比較してもその割合は年々増加していることがわかります。
区分 | 平成30年度 | 令和2年度 | 令和4年度 |
大学学部(昼間部) | 47.5% | 49.6% | 55.0% |
短期大学(昼間部) | 55.2% | 56.9% | 61.5% |
修士課程 | 48.0% | 49.5% | 51.0% |
博士課程 | 53.5% | 52.2% | 58.9% |
専門業学位課程 | 41.1% | 37.1% | 41.4% |
この統計から約半数以上の学生が奨学金を利用していることがわかり、特に短期大学生や大学院博士課程の学生の間では高い利用率が見られます。
そもそも奨学金とは

奨学金とは、文字通り「学問を奨めるためのお金」であり、経済的な理由で進学が難しい人々を支援するために提供される資金です。
奨学金を利用することで、家庭の事情や経済的理由により進学や修学に支障をきたすことなく、安心して勉学に励むことができるため、多くの学生に利用されています。
奨学金は、入学金や授業料、生活費などの負担を軽減する目的で利用され、その給付方法や利子の有無などは制度によって異なります。
奨学金の種類

奨学金には具体的にどのような種類があるのでしょうか。ここでは「貸与型」の奨学金と「給付型」の奨学金についてそれぞれ解説していきます。
貸付型奨学金
貸与型奨学金とは、進学に必要な資金を貸与する形で支給される奨学金です。学生は卒業後に一定期間にわたって借りた金額を返済する必要があります。
貸与型には無利子で借りる「第一種奨学金」と、有利子で借りる「第二種奨学金」があります。また、これらと併せて入学時の一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金(利子付)があります。
給付型奨学金
給付型奨学金とは、返済の必要がない奨学金で、家計が厳しい学生や成績優秀者を対象に、進学費用を支援する目的で給付されます。
また、2020年4月から「修学支援新制度」という新制度がスタートしており、世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができるようになりました。
ここまでの貸与型奨学金、給付型奨学金の概要をまとめると以下のようになります。
奨学金の種類 | 返還の必要性 | 利子 | |
給付奨学金 | 返還不要 | ー | |
貸与奨学金 | 第一種奨学金 | 返還必要 | 利子なし |
第二種奨学金 | 利子あり | ||
入学時特別増額貸与奨学金 |
奨学金の利用目的

では、具体的に奨学金はどのような使途で利用することができるのでしょうか。以下では、奨学金の主な利用目的について解説します。
授業料・施設設備費
奨学金の資金使途として授業料や施設設備費が挙げられます。
2021年度の文部科学省のデータによると授業料は国立大学で約53万円、私立大学で約93万円に加え、私立大学では施設設備費が年間約18万円かかるとされています。この金額は学生からすると大きな金額といえます。奨学金を利用して授業料の支払に充てることで在学中の大きな出費が抑えられ学生にとっては経済的・心理的にメリットがあるといえるでしょう。
家賃や食費などの生活費
奨学金の資金使途として生活費が挙げられます。
一人暮らしの学生は、家賃や食費、光熱費といった生活費がかかるため、それらを奨学金で補っているケースも多いといえます。日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査」によると、大学学部生(昼間部)の生活費は年平均182万円となっており、月で換算すると約15.21万円となります。さらに、これらに加えて教科書代や通学費、サークル活動費、資格取得のための費用なども大学生活を送る上で発生することが想定されます。
このように大学生活ではさまざまな面でお金が必要となります。奨学金は大学の授業料のみならず、大学生活全般を支えるさまざまな資金使途で利用が可能であり、学生の経済面を幅広くサポートしてくれるといえます。
奨学金の正しい使い道

奨学金の使途はさまざまであるということを解説してきましたが、冒頭でもお伝えしたように奨学金とは「学問を奨めるためのお金」であり、学資の負担を軽減し、学生が安心して勉学ができるように支援することを目的としています。
そのため、利用の際は目的に沿った正しい使い方をすることが必要です。たとえば、遊びのために奨学金の資金を利用するなど目的から逸脱したような使い方は倫理上正しい使い道とは言えません。また、奨学金によっては、学費など奨学金の費用の使用使途についての証明書の提出が求められる場合もあります。この場合、目的以外での資金の利用が認められない場合もあるため注意が必要です。
奨学金を受給した際には本来の目的から外れた使い方はせず、目的に沿った正しい使い方をすることが大切です。
まとめ
本記事では、2人に1人が利用しているといわれている奨学金について、基本的な概要や利用目的などについて解説してきました。
奨学金制度にはさまざまな種類があり、学生の学業成績や家庭の状況によって利用できる制度が異なります。また、利用している学生の使途もさまざまであり、学生生活に関連するものであれば幅広い使途で利用されています。
本記事を通じて、自身の状況に合わせた奨学金の利用を検討し、有意義な学生生活になるような奨学金の利用につながれば幸いです。