「奨学金に落ちたらどうしよう」「自分は落ちる確率が高いのでは」——申し込みを前に不安になる人は多いはずです。
先に結論からお伝えすると、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、成績上位者を選び抜く「選抜試験」ではなく、決められた基準を満たしているかを確認する「基準充足型」の審査です。つまり、落ちる人には落ちるだけの理由がほぼ必ずあり、その理由は事前に確認・対策できます。
この記事では、第一種(無利子)・第二種(有利子)・給付型の3種類それぞれについて、「落ちる理由」と「落ちないための対策・落ちた場合の対処法」を、2026年度の最新基準をもとに解説します。
奨学金に落ちる確率はどのくらい?
JASSOは奨学金の種類別の「採用率」を毎年の広報資料としては公表していません。そのため「◯%の人が落ちる」と断定することはできませんが、審査の仕組みから次のことが言えます。
- 貸与型(第一種・第二種)は、学力基準と家計基準を満たし、書類に不備がなければ、不採用になることは基本的に少ない
- 給付型(高等教育の修学支援新制度)は、要件に該当するかどうかで決まる制度であり、定員をめぐって競争する仕組みではない
- 落ちる原因の大半は、①学力基準を満たしていない ②家計(収入・資産)基準を満たしていない ③申請書類の不備のいずれか
3種類の審査基準をざっくり比較すると、次のようになります。
| 学力基準 | 家計基準(大学・在学採用の目安) | 審査の厳しさ | |
|---|---|---|---|
| 第一種(無利子) | 高校の評定平均3.5以上など | 貸与額算定基準額 189,400円以下 | 3種類の中で最も厳しい |
| 第二種(有利子) | 平均水準以上・学修意欲など緩やか | 貸与額算定基準額 381,500円以下 | 最も緩やか |
| 給付型 | 評定3.5以上 または 学修意欲の確認 | 支給額算定基準額により第Ⅰ〜Ⅳ区分 + 資産基準 | 家計・資産の基準が細かい |
(出典:JASSO 大学等で受ける第二種奨学金の家計基準(在学採用)ほか)
ここからは種類別に詳しく見ていきます。
第一種奨学金(無利子)に落ちる理由と対処法
第一種は無利子で借りられる分、3種類の中で最も基準が厳しく、「落ちた」という声が多いのも第一種です。
落ちる理由1:評定平均が3.5に届いていない
高校3年生などが進学前に申し込む「予約採用」では、高等学校での申込時までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上であることが学力基準です(高卒認定試験合格者も対象)。
ただし例外があります。評定平均が3.5未満でも、次のいずれかに該当し、面談やレポートで学修意欲が確認できれば基準を満たす扱いになります。
- 生計維持者の貸与額算定基準額が0円(住民税非課税相当)
- 生計維持者が生活保護を受給している
- 社会的養護を必要とする人(児童養護施設入所者など)
(出典:JASSO 進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準)
進学後に申し込む「在学採用」の場合、2026年度入学者の1年次は高校の評定平均3.5以上(専修学校専門課程は3.2以上)が基準です。2017〜2025年度入学者の2年次以上は、学部(科)での成績が上位3分の1以内などが求められます(出典:JASSO 進学後(在学採用)の第一種奨学金の学力基準)。
落ちる理由2:世帯収入が家計基準を超えている
大学の在学採用の場合、生計維持者の貸与額算定基準額が189,400円以下(第一種・第二種併用貸与は164,600円以下)であることが必要です。この金額は年収そのものではなく、住民税の課税標準額から次の式で計算されます。
貸与額算定基準額 =(課税標準額)×6% −(市町村民税調整控除額)−(多子控除)−(ひとり親控除)−(私立自宅外控除)
自分の世帯が基準内かどうかは、JASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」の適格性チェックで確認できます。
第一種に落ちた場合の対処法
- 第二種(有利子)に申し込む:学力・家計とも基準が緩やかで、貸与月額の選択肢も広い
- 在学採用で再挑戦する:進学後、毎年春に申し込みの機会がある
- 給付型の対象にならないか確認する:世帯収入によっては、返さなくてよい給付型のほうが先
そもそも第一種がどんな制度か(第二種との違い・無利子の意味)を整理したい人は、第一種奨学金とは?で基礎から解説しています。
第二種奨学金(有利子)に落ちる理由と対処法
第二種は3種類の中で最も基準が緩やかで、基準を満たして書類に不備がなければ、不採用になるケースはまれです。「奨学金に落ちるか不安」という人も、第二種まで含めて考えれば過度に心配する必要はありません。
学力基準は「意欲」でも満たせる
第二種の学力基準は、次のいずれかに該当すればよいとされています。
- 高等学校等における学業成績が平均水準以上と認められる
- 特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる
- 進学先での学修に意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがある
- 高卒認定試験の合格者
評定平均の数値要件がなく、3の「学修意欲」でも満たせるため、学力が理由で第二種に落ちることはほとんどありません。
それでも落ちるとしたら:家計基準の超過か書類不備
- 家計基準の超過:大学の在学採用では貸与額算定基準額381,500円以下が基準です。第一種(189,400円以下)よりかなり上限が高く、いわゆる中間所得層でも対象になります
- 申請書類の不備:マイナンバー関係書類の不足、生計維持者の情報の誤り、保証制度(人的保証・機関保証)関係の記入漏れなど
第二種に落ちた・借りられない場合の対処法
- 書類不備が原因なら、在学採用で申し込み直す
- 大学・自治体・民間団体の奨学金を探す(給付型や無利子のものも多い)
- 人的保証の保証人が見つからないことがネックなら、保証機関が連帯保証する機関保証を選べば人を立てずに申し込めます
給付型奨学金(修学支援新制度)に落ちる理由と対処法
返さなくてよい給付型は「倍率が高くて落ちやすいのでは」と思われがちですが、実際は要件に該当するかどうかで決まる制度で、定員をめぐる競争ではありません。落ちる原因は明確に3つです。
落ちる理由1:世帯収入が支援区分に該当しない
給付型は、生計維持者の支給額算定基準額に応じて第Ⅰ〜Ⅳ区分に分かれ、区分ごとに支援額が変わります。
| 区分 | 支給額算定基準額 | 年収目安(本人と親の2人世帯・給与所得の場合) |
|---|---|---|
| 第Ⅰ区分 | 100円未満 | 約207万円まで |
| 第Ⅱ区分 | 100円以上25,600円未満 | 約298万円まで |
| 第Ⅲ区分 | 25,600円以上51,300円未満 | 約373万円まで |
| 第Ⅳ区分 | 51,300円以上154,500円未満 | 約630万円まで |
※年収目安は世帯構成によって大きく変わります(出典:JASSO 給付奨学金の家計基準(予約採用))
また、2025年度からは多子世帯(生計維持者が扶養する子どもが3人以上)への支援が拡充され、所得制限なく授業料等減免の対象になりました(出典:JASSO 多子世帯支援)。「うちは年収的に無理」と思っていた世帯でも、きょうだいが3人以上いれば対象になる可能性があります。
落ちる理由2:資産基準を超えている
申込日時点の本人と生計維持者の資産額の合計が5,000万円以上あると、収入基準を満たしていても対象外です。
落ちる理由3:学力・意欲の基準を満たしていない
予約採用では、評定平均3.5以上、またはレポートや面談で学修意欲が確認できることのいずれかが必要です。評定が足りなくても、意欲確認で満たせる点は第一種より柔軟です。
給付型に落ちた場合の対処法
- 家計急変採用:災害や失職などで家計が急変した場合は、通常の採用時期を待たずに申し込めます
- 在学採用で再申込:進学後も毎年申し込みの機会があります。世帯状況(収入・きょうだいの数など)が変わると結果も変わります
- 貸与型と組み合わせる:給付型と貸与型は併用可能です(併用時は第一種の貸与月額に調整があります)
給付型の採用率・区分ごとの支援額・落ちたときの動き方は、給付型奨学金に落ちる確率は?でさらに詳しく解説しています。
種類を問わず落ちる原因:申請書類の不備
どの奨学金でも共通してもったいないのが、基準は満たしているのに書類の不備で審査が進まないケースです。提出前に次を確認しましょう。
- マイナンバー提出書類(生計維持者分を含む)は揃っているか
- 生計維持者の記載は正しいか(原則は父母2名。誤りは審査に直結します)
- スカラネットの入力内容と提出書類に食い違いがないか
- 署名・記入漏れ、証明書類(成績・所得関係)の添付漏れがないか
- 提出期限に間に合っているか(期限後の提出は受け付けられません)
奨学金に落ちた場合の対処法まとめ
最後に、種類を問わず使える対処法を整理します。
- 不採用の理由を確認する:学校の奨学金窓口を通じて、どの基準に該当しなかったかを確認する
- 第二種に申し込む:基準が最も緩やか。第一種・給付型に落ちた場合の現実的な受け皿
- 在学採用・家計急変採用を使う:申し込みのチャンスは入学前の1回だけではありません
- 大学独自・自治体・民間の奨学金を探す:学生課や各団体のサイトで通年募集の制度も見つかります
- 学校に相談する:授業料の減免・分納・延納など、奨学金以外の支援が用意されている場合があります
よくある質問
Q. 奨学金に一度落ちたら、もう申し込めませんか?A. 申し込めます。予約採用で不採用でも、進学後の在学採用で再度申し込めますし、給付型は世帯状況が変われば結果が変わることもあります。
Q. 親の年収がいくらだと落ちますか?A. 年収額ではなく、住民税情報から計算される「貸与額算定基準額(給付型は支給額算定基準額)」で判定されるため、同じ年収でも世帯構成によって結果が変わります。JASSOのシミュレーションで事前に確認できます。
Q. 評定平均が3.5未満だと第一種は絶対に無理ですか?A. 住民税非課税世帯などに該当し、面談やレポートで学修意欲が確認できれば、基準を満たす扱いになります。あきらめる前に学校へ相談してください。
Q. 給付型と貸与型は同時に申し込めますか?A. 併用できます。両方申し込んでおき、採用結果を見てから借りる額を調整する(辞退・減額する)ことも可能です。
まとめ
- JASSOの奨学金は基準充足型の審査。落ちる原因は「学力」「家計・資産」「書類不備」のいずれかにほぼ集約される
- 第一種は評定平均3.5以上と家計基準(大学在学採用で189,400円以下)が壁。落ちたら第二種・在学採用へ
- 第二種は学修意欲でも学力基準を満たせるため、基準内で書類に不備がなければ落ちることはまれ
- 給付型は第Ⅰ〜Ⅳ区分の家計基準・資産5,000万円未満・学力(評定3.5または意欲)で決まる。2025年度からは多子世帯は所得制限なし
- 落ちても在学採用・家計急変採用・他団体の奨学金など、次の一手は必ずある
「落ちる確率」を心配するより、自分がどの基準に引っかかりそうかを特定して潰しておくこと。それが採用への最短ルートです。
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