奨学金は多くの学生にとって重要な経済的支援ですが、審査に落ちてしまうケースもあります。
本記事では、奨学金の審査で落ちる主な原因と基準、そして落ちた場合の対処法について詳しく解説します。審査を通過するためのポイントや、不採用となった際の代替案も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
奨学金の審査で落ちる原因・基準

奨学金の審査では、学力や家庭の経済状況、返還能力など、複数の要素が総合的に評価されます。
【奨学金の審査で落ちる原因・基準】
- 学力・学業成績が基準を満たしていない場合
- 世帯収入が基準を上回っている場合
- 返還能力が認められなかった場合
- 申請書類にミスがあった場合
それぞれについて順に詳しく解説します。
学力・学業成績が基準を満たしていない場合
奨学金の種類によっては、一定以上の学力や成績が求められます。とくに第一種奨学金(無利子)は、高校での評定平均値や大学での学業成績が重視されます。
例えば、高校の評定平均値が5段階評価で3.5未満の場合、第一種奨学金の対象外となります。また、大学在学中の奨学金継続には、毎年の学業成績が影響します。基準を満たすためには、日頃から真剣に学業に取り組むことが大切です。
世帯収入が基準を上回っていた場合
奨学金の多くは、家計の経済状況を考慮して審査されます。世帯の年間収入が一定額を超えると、奨学金の対象外となる場合があります。
例えば、日本学生支援機構の奨学金では、世帯年収の目安を以下のように定めています。
希望する奨学金 | 家計基準 |
第一種・第二種併用貸与 | 生計維持者の貸与額算定基準額が164,600円以下 |
第一種奨学金 | 生計維持者の貸与額算定基準額が189,400円以下 |
第二種奨学金 | 生計維持者の貸与額算定基準額が381,500円以下 |
※1収入については、2022年(1月~12月)の収入に基づく2023年度住民税情報(秋に申し込む場合は、2023年(1月~12月)の収入に基づく2024年度住民税情報)により算出された貸与額算定基準額が上表に該当するか審査を行います。
※2 貸与額算定基準額(a) =(課税標準額)×6%-(市町村民税調整控除額)(b) -(多子控除)(c)-(ひとり親控除)(d) -(私立自宅外控除)(e) (100円未満は切り捨て)
(a)市町村民税所得割が非課税の人は、 この計算式にかかわらず、貸与額算定基準額が0円となります。
(b)政令指定都市に対して市民税を納税している場合は、(市町村民税調整控除額)に3/4を乗じた額となります。
(c)生計維持者が2人を超える子どもを扶養している場合、2人を超える子ども1人につき40,000円を控除します。 扶養している子どもの人数は住民税情報またはスカラネット申告人数のうち、小さい人数を適用します。(例)生計維持者が「申込者」と「中学生の弟」、「小学生の妹」の3人を扶養している場合の控除額は、(3-2)人 ×40,000円=40,000円となります。
(d)ひとり親世帯に該当する場合に40,000円を控除します。
(e)在学採用の審査において、あなたが私立の大学・短期大学・専修学校(専門課程)・高等専門学校に在籍し自宅外通学の場合に22,000円を控除します。
引用:大学等で受ける第二種奨学金の家計基準(在学採用) | JASSO
奨学金の枠に対して応募が多い場合
奨学金には予算や定員の制限があるため、応募者数が多い場合、基準を満たしていても不採用となることがあります。とくに人気の高い給付型奨学金や、特定の分野を対象とした奨学金では競争率が高くなる傾向があります。
このような状況では、学業成績や課外活動の実績、志望理由書の内容など、総合的な評価が重要になります。また、複数の奨学金に応募することで、採用のチャンスを増やすことも検討しましょう。
申請書類にミスがあった場合
奨学金の申請書類に不備や記入漏れがあると、審査の対象外となる可能性があります。よくあるミスとしては、署名や押印の忘れ、必要書類の添付漏れ、記入内容の矛盾などが挙げられます。申請前に以下のチェックポイントを確認しましょう
- 署名・押印が必要な箇所は漏れなく行ったか
- 添付書類(成績証明書、所得証明書など)はすべて揃っているか
- 記入内容に矛盾や誤りがないか
これらを慎重に確認することで、書類不備による不採用を防ぐことができます。
奨学金の審査で落ちないようにするための解決策

奨学金の審査に通過するためには、事前の準備と対策が重要です。学業成績の向上に努めるとともに、家計状況を正確に把握し、申請書類を丁寧に作成することが基本となります。
また、志望理由書では自身の将来計画や学習意欲を具体的に示し、奨学金が必要な理由を明確に説明することが有効です。複数の奨学金に応募することで、採用のチャンスを広げることも検討しましょう。
第一種奨学金が不採用だった場合は第二種に申し込む
第一種奨学金(無利子)の審査基準は比較的厳しいため、不採用となる可能性もあります。その場合、第二種奨学金(有利子)への申し込みを検討しましょう。第二種奨学金は第一種に比べて審査基準が緩和されており、採用のチャンスが高くなります。
【第二種奨学金のメリット】
- 第一種よりも採用枠が広い
- 学力基準が比較的緩やか
- 貸与額の選択肢が多い(2万円から12万円まで)
ただし、有利子であるため、将来の返済計画をしっかり立てることが重要です。返済シミュレーションを行い、自身の将来の収入見込みと照らし合わせて慎重に検討しましょう。
他の団体の奨学金を活用する
日本学生支援機構の奨学金以外にも、さまざまな団体が奨学金制度を設けています。これらの奨学金は比較的競争率が低い場合もあり、採用のチャンスが広がる可能性があります。
【探してみるべき奨学金の例】
- 地方自治体の奨学金制度
- 民間企業や財団法人の奨学金
- 大学独自の奨学金制度
- 特定の分野や業界を対象とした奨学金
これらの奨学金は、給付型や無利子貸与型が多いのも特徴です。自身の条件や将来の目標に合った奨学金を探すことで、経済的支援を受けられる可能性が高まります。
大学の学生課や奨学金情報サイトなどを活用して、幅広く情報を集めることをおすすめします。
返済義務のない新聞奨学生の制度を利用する
新聞奨学生制度は、返済不要の給付型支援として注目されています。この制度では、新聞配達のアルバイトをしながら学業に励む学生に対して、学費や生活費の支援が行われます。
【新聞奨学生制度のメリット】
- 学費や寮費が無料または大幅に割引される
- 毎月の給与が支給される
- 社会人としての経験が積める
ただし、早朝の新聞配達と学業の両立が求められるため、時間管理能力や体力が必要です。また、契約期間や勤務条件などをよく確認し、自身の学業計画と照らし合わせて検討することが重要です。
新聞奨学生制度は、経済的な理由で進学を諦めかけていた学生にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。
入学先の学校に相談する
奨学金の審査で不採用となった場合、入学予定または在学中の学校の学生課や奨学金担当窓口に相談することをおすすめします。多くの学校では、独自の奨学金制度や経済的支援プログラムを設けています。
【学校に相談することで得られる可能性のある支援】
- 学校独自の奨学金制度
- 授業料の減免制度
- 学費の分割払いや延納制度
- アルバイト紹介や学内ワークスタディ制度
また、学校の担当者は奨学金に関する豊富な知識と経験を持っているため、他の奨学金の紹介や申請のアドバイスを受けられる可能性もあります。経済的な悩みを一人で抱え込まず、積極的に学校のサポートを活用することが重要です。
まとめ
奨学金の審査で落ちる主な原因には、学力不足、世帯収入超過、返還能力の不安、競争率の高さ、申請書類の不備などがあります。これらの要因を理解し、事前に対策を立てることが重要です。
審査に落ちた場合でも、第二種奨学金への申し込み、他団体の奨学金の活用、新聞奨学生制度の利用、学校への相談など、さまざまな代替案があります。
経済的な理由で進学や学業継続を諦めることなく、自身に合った支援を見つけることが大切です。奨学金の情報を幅広く収集し、複数の選択肢を検討することで、より確実な経済的支援を得られる可能性が高まるでしょう。