「アルバイトだから残業代は出ない」「忙しい時間帯は少し残って当たり前」このような言葉を耳にしたことはありませんか。実は、アルバイトであっても条件を満たせば残業代は法律上支払われるものです。しかし、現場では残業代が正しく支払われていないケースも少なくありません。
この記事では、残業代がもらえる仕組み、支払われない理由、違法になるケース、そして正しい対処法までを網羅的に解説します。事実に基づいてわかりやすく整理しているので、今後のトラブル防止にも役立つはずです。
バイトでも残業代はもらえるのが原則
アルバイトの残業代については、「正社員ではないから対象外」と誤解されがちですが、法律上はそのような区別はありません。ここでは基本ルールを整理します。
アルバイトと正社員で法律上の扱いは同じ
労働基準法では、「労働者」に該当するかどうかが重要で、雇用形態(正社員・アルバイト・パート)は問いません。
そのため、アルバイトであっても、
- 会社(バイト先)の指揮命令下で働いている
- 労働時間や業務内容が決められている
といった条件を満たしていれば、正社員と同様に労働基準法の保護を受けます。
残業代が発生する基本条件
残業代(時間外労働の割増賃金)が発生するのは、1日8時間、または週40時間を超えて働いた場合です。
この時間を超えた分については、通常の時給の25%以上を上乗せした賃金を支払う義務があります。
また、深夜(原則22時〜翌5時)に働いた場合は、時間外でなくても深夜割増が発生します。
バイトの残業代が支払われない主な理由
本来は支払われるはずの残業代が、なぜ現場では「出ない」ことが起きるのでしょうか。よくある理由を見ていきます。
「アルバイトだから」という誤解
最も多いのが、「バイトは残業代なし」という誤った認識です。
これは法律上まったく根拠がなく、支払わない理由にはなりません。バイト先の理解不足や、昔ながらの慣習が原因となっているケースが多いとされています。
タイムカードを切らせてもらえない
業務終了後も片付けや締め作業をしているのに、
- タイムカードを先に切らされる
- シフト時間外の作業は「手伝い扱い」になる
といったケースでは、実労働時間が正しく記録されていません。
このような場合も、実際に働いていれば労働時間とみなされ、残業代の対象になります。
「みなし残業」や「固定残業代」の誤用
一部の職場では、「時給に残業代を含んでいる」「固定残業代だから追加支給はない」と説明されることがあります。
しかし、アルバイト契約でこの仕組みを使う場合でも、
- 契約書に明確な記載がある
- 何時間分の残業代が含まれているかが明示されている
といった条件を満たしていなければ、無効と判断される可能性が高いです。
残業代が出ないのは違法?判断のポイント
残業代が支払われない場合、それが違法かどうかを判断するためには、いくつかの視点があります。
労働時間として認められるかがカギ
重要なのは、その時間が「労働時間」に該当するかどうかです。
例えば、
- 店長から残るよう指示された
- 業務上必要な作業をしていた
- 断りにくい雰囲気で実質的に強制されていた
といった場合は、指示が明確でなくても労働時間と判断される可能性があります。
「自主的に残った」は通用しないケースも多い
「自分の判断で残ったから残業ではない」と説明されることがありますが、業務上必要な作業であれば、自主性を理由に残業代を支払わないのは不適切とされるケースが多いです。
実態として、バイト先の利益のために働いていたかどうかが判断基準になります。
バイトの残業代を確認・請求するための対処法
残業代が支払われていない可能性がある場合、感情的に動くのではなく、段階を踏んで対応することが重要です。
まずは契約内容と勤務記録を確認する
最初に行うべきは、
- 雇用契約書
- シフト表
- タイムカードや勤怠アプリの記録
を確認することです。
これにより、契約上の労働時間と実際の勤務時間のズレが明確になります。
バイト先に事実ベースで相談する
証拠を整理した上で、
「この日の勤務時間が○時間を超えているため、残業代の対象ではないか」
といったように、冷静かつ具体的に相談することが大切です。
単なるクレームではなく、事実確認の姿勢で話すことで、是正されるケースもあります。
解決しない場合は外部機関を検討する
話し合いで改善されない場合、労働基準監督署などの公的機関に相談するという選択肢があります。
労働基準監督署は、残業代未払いを含む労働基準法違反について、事実確認や是正指導を行う役割を持っています。
厚生労働省の公式情報によると、残業代の未払いは代表的な労働基準法違反の一つとされています。
(参照元:厚生労働省「労働基準法の概要」)
まとめ
アルバイトであっても、法律上は残業代をもらえるのが原則です。「バイトだから」「少しだから」といった理由で支払われない場合でも、実態次第では違法となる可能性があります。
重要なのは、
- 残業代が発生する条件を正しく知ること
- 勤務記録や契約内容を確認すること
- 冷静に、段階的に対処すること
です。
正しい知識を持っていれば、不要なトラブルを避けつつ、自分の働き方を守ることにつながります。「バイト 残業代」で悩んだときは、今回の内容を一つの判断材料として活用してください。

