同じ大学生でも、貯金がほとんどない人もいれば、100万円以上ある人もいます。SNSで大きな金額を見かけると、「自分は少なすぎるのでは」と不安になるかもしれません。
ただし、「大学生の平均貯金額」として紹介される数字には注意が必要です。銀行口座の残高を聞いた調査もあれば、毎月いくら残せたかを集計した調査もあり、対象が実家暮らしか一人暮らしかでも結果が変わります。数字の意味を比べずに平均だけを見ると、自分の状況を正しく判断できません。
この記事では、2025年に実施された全国大学生協連の最新調査をもとに、大学生が毎月どのくらいを貯金・繰越に回しているかを紹介します。
大学生の平均貯金額は「毎月約1.8万〜1.9万円」が一つの目安

全国大学生活協同組合連合会が2026年2月に公表した「第61回学生生活実態調査」は、全国の国公立・私立大学の学部学生を対象に、2025年10〜11月に行われました。集計対象13,277人の1か月の生活費を見ると、「貯金・繰越金」は次のとおりです。
| 居住形態 | 1か月の貯金・繰越金 | 12か月続いた場合の単純計算 |
| 実家暮らし(自宅生) | 19,304円 | 231,648円 |
| 一人暮らしなど(下宿生) | 18,444円 | 221,328円 |
単純に12倍すると、年間約22万〜23万円です。ただし、ここでいう「貯金・繰越金」は、銀行口座の残高そのものや、1年間で増えた純粋な貯金額を示す数字ではありません。翌月へ残した生活費も含む項目として見る必要があります。
つまり、「大学生の平均貯金残高は約22万円」と断定するのは正確ではありません。最新調査から読み取れるのは、大学生が1か月の収入のうち、平均で1.8万〜1.9万円程度を貯金または翌月への繰越に回しているということです。
実家暮らしと一人暮らしで平均が近いのはなぜ?

実家暮らしの方が住居費や食費の負担が小さいため、もっと大きな差がつくと思う人もいるでしょう。実際、同じ調査では自宅生の1か月の支出合計は70,760円、下宿生は138,020円と、生活費には大きな差があります。
| 主な項目 | 実家暮らし | 一人暮らしなど |
| アルバイト収入 | 46,377円 | 37,620円 |
| 食費 | 15,044円 | 29,853円 |
| 住居費 | 1,185円 | 55,452円 |
| 貯金・繰越金 | 19,304円 | 18,444円 |
一人暮らしの学生は家賃や食費がかかる一方、仕送りや奨学金を含めて生活全体を組み立てています。実家暮らしの学生はアルバイト収入の比重が高く、自分で使えるお金の中から貯金へ回していると考えられます。
ただし、これは調査全体の平均です。学費を自分で払っている、家へ生活費を入れている、奨学金を返済用に残しているなど、同じ居住形態でも事情は違います。「実家暮らしなのに平均より少ない」と単純に比較する必要はありません。
ネットで見る「大学生の平均貯金額」が記事ごとに違う理由

検索するたびに違う数字が出てくるのは、必ずしもどれかが間違っているからではありません。調査対象や「貯金」の数え方が違うため、数字の前提を読む必要があります。
調査しているものが違う
「現在の口座残高」「毎月の貯金額」「前月からの繰越金」「卒業までに貯めた金額」は、それぞれ別の数字です。記事タイトルに同じ「平均貯金額」と書かれていても、調査項目が違えば金額は一致しません。
平均値は一部の大きな金額に引っ張られる
10人のうち9人が5万円、1人が100万円を持っている場合、平均は14万5,000円になります。しかし、多くの人の実感に近いのは5万円です。平均値を見るときは、中央値や金額の分布が公表されているかも確認しましょう。
実家暮らし・一人暮らし、学年で条件が違う
大学1年生と4年生では、貯金を始めてからの期間が違います。一人暮らしは固定費が大きく、就職活動中は交通費や服装代が増えることもあります。居住形態や学年を分けずに集計した数字は、自分の生活と合わない場合があります。
奨学金や仕送りを貯金に含めるかが人によって違う
奨学金を生活費として使う人もいれば、学費の引き落としに備えて口座に置いている人もいます。口座に残っていても自由に使えるお金とは限りません。自分の貯金を考えるときは、「使い道が決まっているお金」と「自由に使える貯金」を分けてください。
大学生はいくら貯金すればいい?平均ではなく目的から決めよう

必要な貯金額は、毎月の生活費と今後の予定で決まります。最初から100万円を目標にすると遠く感じるため、貯金を三つの箱に分けて考えると続けやすくなります。
| 貯金の目的 | 使う場面 | 決め方の例 |
| 急な出費への備え | スマホ・PCの故障、通院、急な帰省 | まずは自分が慌てずに済む小さな金額から |
| 半年以内に使う予定資金 | 資格受験、旅行、免許、就活準備 | 必要額÷使うまでの月数 |
| 卒業前後の生活資金 | 引っ越し、新生活用品、卒業旅行 | 見積もりを取り、1年以上かけて準備 |
たとえば6か月後に6万円必要なら、毎月1万円を別にしておけば間に合います。「平均より多いか少ないか」ではなく、使う時期から逆算できているかが重要です。
一人暮らしで家賃や食費を自分で負担している人は、余裕のある月に多めに貯め、試験や実習でバイトを減らす月に取り崩す方法でも構いません。毎月必ず同額を増やすことだけが貯金ではありません。
毎月の貯金額を決める3つのプラン

アルバイト収入が月によって変わる大学生は、固定額と割合を組み合わせると管理しやすくなります。月5万円の収入を例にすると、次のようなペースです。
| プラン | 毎月の貯金 | 1年間の合計 | 向いている人 |
| まず習慣化 | 5,000円 | 60,000円 | 貯金を始めたばかり |
| 標準ペース | 10,000円 | 120,000円 | 毎月の収支が安定している |
| 目標優先 | 15,000円 | 180,000円 | 実家暮らしなどで固定費が少ない |
収入が3万円の月に1万5,000円を無理に貯めると、必要な食費や教材費まで削ることになります。最低額を5,000円に決め、長期休暇で多く働けた月だけ追加するなど、生活に合わせて調整しましょう。
大学生が無理なく貯金を続ける7つのコツ

貯金は、一度だけ大きく節約するより、毎月同じ手順で少しずつ残す方が続きます。生活を窮屈にしすぎない方法から試してみましょう。
1. 給料日に先に移す
月末に余った分を貯めようとすると、使えるお金だと思って残りやすくなります。給料日に5,000円だけ別口座へ移し、残った金額で次の給料日まで過ごす方が仕組み化しやすい方法です。
2. 貯金口座を生活費口座と分ける
残高が一つの画面にまとまっていると、貯金まで使えるお金に見えてしまいます。生活費、近いうちに使う予定資金、長期の貯金を分け、目的ごとの残高を確認できるようにしましょう。
3. 1か月ではなく1週間の予算を見る
月初に使いすぎる人は、給料日までの日数を週単位に分けます。自由に使えるお金が2万円、残り4週間なら、1週間5,000円が目安です。飲み会など大きな予定がある週は、前後の週で調整します。
4. 長期休暇の収入を全部使わない
夏休みや春休みにシフトを増やすと、通常月より収入が多くなります。増えた分の半分は新学期の教科書代や試験期間の生活費として残す、と先にルールを決めておくと使い切りを防げます。
5. 固定費を一つだけ見直す
毎日の小さな出費をすべて我慢するより、使っていないサブスクやスマホ料金など、毎月自動で出ていく支出を一つ減らす方が効果が続きます。節約方法を詳しく知りたい人は関連記事も参考にしてください。
※関連記事 :【完全保存版】学生が今すぐ始められるお金を貯める方法10選|無理なく続けて賢く貯金! ・【最新版】学生一人暮らしの節約術10選|月1万円以上浮かせる実践テクを徹底解説!
6. 現金化できないポイントを貯金扱いしない
ポイントやクーポンは支出を減らす助けになりますが、家賃や急な通院にそのまま使えるとは限りません。「ポイントがあるから貯金できている」と考えず、現金で使える残高とは分けて管理しましょう。
7. 月に一度だけ残高を確認する
毎日残高を見て落ち込む必要はありません。給料日の前後など確認日を決め、「今月いくら増えたか」「来月に大きな支払いがあるか」を見直します。増えなかった月も、理由が説明できれば次の調整につながります。
貯金を優先しすぎなくてもよい支出
大学生活では、貯金を増やすことと同じくらい、必要な経験や学びにお金を使うことも大切です。食費を削りすぎて体調を崩す、必要な教材を買わない、壊れたパソコンを放置して授業に支障が出るのは本末転倒です。
- 通院、睡眠、食事など健康を守るための支出
- 授業や資格取得に必要な教材・受験料
- 就職活動に必要な交通費や通信環境
- 自分が本当に参加したい旅行、行事、人との交流
お金を使うか迷ったときは、「あとで同じ機会を買い戻せるか」を考えてみましょう。学生の間にしか参加しにくい経験なら、計画的に使うことも有意義です。貯金は使わないことが目的ではなく、必要なときに自分で選べる状態を作るためのものです。
大学生の貯金に関するよくある質問
平均額を知った後に気になりやすい、貯金ゼロや100万円、奨学金との関係について整理します。
大学生で貯金ゼロはまずい?
貯金がゼロだからといって、すぐに問題があるとは限りません。学費や生活費を自分で負担している人は残りにくく、大学へ入ったばかりなら貯める期間も短いためです。まずは1,000円や5,000円を別にする習慣から始めましょう。
大学生で100万円あるのは多い?
一般的には大きな金額ですが、奨学金や学費用のお金が含まれているなら、すべてを自由に使える貯金とはいえません。金額の大きさより、使い道が決まったお金と自由な貯金を区別できているかを確認してください。
奨学金を使わず貯金してもいい?
奨学金の種類や利用目的、学費の支払い予定によって判断が変わります。貸与型は将来返済するお金です。口座に残っていても自分の資産が増えたとは考えず、必要額や返済負担を確認してください。
バイトを増やせば貯金しやすくなる?
収入は増えますが、学業や体調に影響して単位を落としたり、外食や移動費が増えたりすれば逆効果です。週の勤務時間と実際に残った金額を一緒に見て、働く時間を調整しましょう。
まとめ
最新の学生生活実態調査では、大学生の1か月の「貯金・繰越金」は、実家暮らしで19,304円、一人暮らしなどの下宿生で18,444円でした。年間に単純換算すると約22万〜23万円ですが、これは銀行口座の平均残高ではありません。
平均より少なくても、生活費や学費を自分で負担しているなら当然のことがあります。まずは急な出費、半年以内の予定、卒業前後の資金に分け、必要な金額を逆算しましょう。少額でも給料日に先取りし、目的別に分けておけば、貯金は無理な我慢ではなく将来の選択肢になります。
※参考:全国大学生活協同組合連合会「第61回学生生活実態調査 概要報告」:2025年の自宅生・下宿生の収入、支出、貯金・繰越金を参照
※「貯金・繰越金」は銀行口座の平均残高を示すものではありません。金額は2025年調査・2026年公表のデータです。

