専門学校の学費は、初年度で平均130万円前後、分野によって約115万〜180万円の幅があります。最初に結論をまとめます。
- 東京都内の私立専門学校(昼間部)の初年度納付金は平均1,301千円(約130万円)。内訳は入学金18.1万円・授業料73.6万円・実習費12.8万円・設備費17.2万円・その他8.5万円(令和6年度・東京都専修学校各種学校協会調べ)
- 高いのは理学療法・作業療法(178.1万円)、はり・きゅう・あん摩(176.8万円)、製菓(172.3万円)。比較的抑えめなのは医療秘書(114.0万円)、簿記・ビジネス・IT(115.0万円)、介護福祉(115.4万円)
- 支払いは入学手続き時に入学金+前期分、以降は前期・後期の年2回が一般的(学校により異なる)
- 払えないときの選択肢は分納・延納の相談/修学支援新制度(専門学校も対象)/JASSO奨学金/国の教育ローン/学費保証サービスの5つ
この記事では、一次資料で確認できる数字だけを使って、専門学校の学費の全体像を1本にまとめます。個別のテーマは、記事内のリンク先でさらに深掘りしています。
専門学校の学費の相場|分野別・初年度納付金(令和6年度)
専門学校の学費に全国統一の公的調査はなく、参考にできる一次資料は東京都専修学校各種学校協会の「学生・生徒納付金調査」です。以下は同協会の「令和6年度 専修学校各種学校調査統計資料」から、都内の私立専門学校・専門課程(昼間部)の初年度納付金の平均額を抜粋したものです。
| 分野 | 学科区分 | 入学金 | 授業料 | 実習費 | 設備費 | その他 | 初年度合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 工業 | 土木・建築・測量 | 19.2 | 77.7 | 4.7 | 18.9 | 2.6 | 123.1 |
| 工業 | 自動車整備 | 22.8 | 50.6 | 27.7 | 23.3 | 6.0 | 130.4 |
| 工業 | 情報処理・IT | 21.0 | 65.7 | 14.5 | 17.0 | 4.5 | 122.6 |
| 工業 | ゲーム・CG | 21.4 | 84.1 | 14.4 | 20.0 | 5.3 | 145.2 |
| 医療 | 看護 | 22.3 | 73.9 | 8.4 | 17.8 | 6.6 | 129.0 |
| 医療 | 臨床検査・診療放射線・臨床工学 | 29.8 | 71.0 | 31.8 | 13.6 | 7.8 | 153.9 |
| 医療 | 理学療法・作業療法 | 34.4 | 93.4 | 15.9 | 28.5 | 5.8 | 178.1 |
| 医療 | 柔道整復 | 27.4 | 111.1 | 7.0 | 10.8 | 3.4 | 159.7 |
| 医療 | はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧 | 35.7 | 118.4 | 3.9 | 15.1 | 3.6 | 176.8 |
| 医療 | 歯科技工・歯科衛生 | 22.0 | 66.9 | 19.2 | 3.8 | 5.7 | 117.7 |
| 衛生 | 栄養・調理 | 18.1 | 65.0 | 36.1 | 23.5 | 7.8 | 150.6 |
| 衛生 | 製菓 | 20.4 | 66.8 | 49.8 | 21.7 | 13.6 | 172.3 |
| 衛生 | 理容・美容 | 11.8 | 55.3 | 19.1 | 21.1 | 28.4 | 135.7 |
| 教育・社会福祉 | 保育・教育 | 16.0 | 70.8 | 6.2 | 15.8 | 8.8 | 117.6 |
| 教育・社会福祉 | 介護福祉 | 16.6 | 66.5 | 9.3 | 16.8 | 6.2 | 115.4 |
| 商業実務 | 簿記・ビジネス・IT | 16.6 | 70.4 | 5.9 | 15.6 | 6.4 | 115.0 |
| 商業実務 | 旅行・ホテル・観光 | 8.5 | 83.3 | 6.4 | 19.6 | 6.1 | 124.0 |
| 商業実務 | 医療秘書・医療管理事務 | 14.3 | 72.7 | 6.1 | 13.9 | 7.1 | 114.0 |
| 服飾・家政 | 服飾・家政 | 19.9 | 64.6 | 2.2 | 14.5 | 14.7 | 115.9 |
| 文化・教養 | 美術・デザイン・写真 | 16.0 | 73.7 | 10.6 | 17.5 | 4.1 | 121.9 |
| 文化・教養 | 音楽・演劇・映像・放送 | 18.1 | 85.9 | 11.6 | 24.1 | 2.8 | 142.5 |
| 文化・教養 | 動物 | 18.6 | 67.2 | 9.8 | 27.1 | 10.4 | 133.1 |
| 文化・教養 | アニメ・声優・ゲーム | 19.1 | 83.6 | 11.2 | 14.9 | 3.4 | 132.2 |
| 専門課程 総平均 | 昼間部 | 18.1 | 73.6 | 12.8 | 17.2 | 8.5 | 130.1 |
| 専門課程 総平均 | 夜間部 | 18.5 | 56.8 | 9.1 | 11.5 | 5.1 | 101.0 |
(単位:万円。出典:公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「令和6年度 専修学校各種学校調査統計資料」都内の専修学校・各種学校の学納金。同協会の「学費と生活費」でも令和6年度の初年度納入金の平均総額は約130万円と案内されています。各科目の平均を集計しているため横の合計は一致しない場合があります)
表の読み方と注意点
- 東京都内の私立専門学校の数値です。地方の学校や公立専門学校では異なるため、志望校の募集要項で必ず確認してください
- 同じ分野でも最高額と最低額の差は大きく、たとえば理学療法・作業療法は最高206万円〜最低135万円、製菓は最高320万円〜最低113万円です(同資料)
- 夜間部は昼間部より約30万円安い傾向があります。働きながら学ぶ選択肢も含めて検討する材料になります
- 2年目以降は入学金がかからないため、年間の負担は初年度より入学金分(平均約18万円)軽くなります
大学・短大との学費比較は大学・短大・専門学校の違いは?で扱っています。
学費の内訳|入学金・授業料・実習費・施設設備費は何に使われる?
| 項目 | 内容 | 傾向 |
|---|---|---|
| 入学金 | 入学時に1回だけ納める。原則返還されない | 平均18.1万円。合格後の手続き時に納付 |
| 授業料 | 年間の授業に対する費用。前期・後期に分けて納めることが多い | 平均73.6万円。学費の中心 |
| 実習費 | 実習で使う材料・機材・施設の費用 | 製菓49.8万円、栄養・調理36.1万円、臨床検査等31.8万円など、実習が多い分野で高い |
| 設備費(施設設備費) | 校舎・設備の維持費 | 平均17.2万円。理学療法・作業療法(28.5万円)、動物(27.1万円)が高め |
| その他 | 教材費・研修費・保険料など | 理容・美容(28.4万円)は器具代などで高くなりやすい |
学費の総額を比べるときは、募集要項の「初年度納入金」だけでなく、教科書代・実習用具・国家試験対策費・研修旅行費など納入金に含まれない費用があるかも確認しましょう。分野によっては数十万円単位で上乗せになります。
学費はいつ払う?支払い時期の基本パターン
支払い時期は学校ごとに定められていますが、一般的な流れは次のとおりです。
| タイミング | 納めるもの | 目安 |
|---|---|---|
| 合格発表後(1〜2週間以内が多い) | 入学金(+前期授業料等を同時に求める学校も) | 入学手続き締切までに納めないと入学辞退扱いになる |
| 入学前〜4月 | 前期分の授業料・実習費・設備費 | 初年度の負担が最も集中する時期 |
| 9〜10月頃 | 後期分 | 前期と同額程度 |
| 2年目以降 | 前期・後期の授業料等(入学金なし) | 初年度より約18万円軽くなる |
推薦・AO入試で秋に合格した場合、入学金の納付は高校3年の秋〜冬になります。奨学金の振込は進学後の春以降なので、入学前に必要なお金は奨学金では間に合わない点が最大の落とし穴です。詳しい時期と対策は専門学校の学費はいつ払う?で解説しています。
学費が払えないときの5つの選択肢
1. 学校に分納・延納を相談する
多くの専門学校には、期日までに一括で払えない場合の分納(分割払い)や延納(期限の延長)の制度があります。ポイントは納付期限の前に相談すること。期限を過ぎてから連絡するより、事前に事情を伝えたほうが学校側も対応しやすくなります。放置すると督促を経て除籍に至る可能性があります。流れと相談の仕方は専門学校の学費が払えないとどうなる?をご覧ください。
2. 高等教育の修学支援新制度(授業料減免+給付型奨学金)——専門学校も対象
国の「高等教育の修学支援新制度」は大学だけの制度ではなく、文部科学省の確認を受けた専門学校(専修学校専門課程)も対象です。世帯の所得に応じて「授業料・入学金の減免」と「給付型奨学金(返還不要)」の2つを受けられます。
授業料等減免の年額上限(専修学校・第Ⅰ区分=住民税非課税世帯)
| 設置者 | 入学金 | 授業料 |
|---|---|---|
| 国公立 | 7万円 | 17万円 |
| 私立 | 16万円 | 59万円 |
(出典:JASSO 奨学金事業に関するデータ集(令和8年1月))
第Ⅱ区分は上限の3分の2、第Ⅲ区分は3分の1に減ります(出典:文部科学省 高等教育の修学支援新制度)。また令和7年度から、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯は所得制限なく減免の対象になりました(出典:同・JASSOデータ集)。
給付型奨学金の月額(専修学校・私立)
| 区分 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|
| 第Ⅰ区分 | 38,300円 | 75,800円 |
| 第Ⅱ区分 | 25,600円 | 50,600円 |
| 第Ⅲ区分 | 12,800円 | 25,300円 |
| 第Ⅳ区分(多子世帯) | 9,600円 | 19,000円 |
(出典:JASSO 給付奨学金の支給額)
私立専門学校の平均授業料73.6万円に対して、第Ⅰ区分なら59万円が減免され、さらに給付奨学金が加わります。対象になるかどうかは給付型奨学金はもらえる確率どれくらい?で基準を解説しています。
3. JASSOの貸与奨学金(第一種・第二種)
給付型の対象にならない世帯でも、貸与型なら幅広く利用できます。JASSOのデータ集によると、令和6年度は専修学校(専門課程)の学生の41.8%がJASSOの奨学金を利用しており、大学(31.7%)より高い割合です。
| 種類 | 利息 | 専門学校の貸与月額(2026年度) |
|---|---|---|
| 第一種 | 無利息 | 国公立:自宅2万・3万・4.5万円/自宅外2万・3万・4万・5.1万円。私立:自宅2万・3万・4万・5.3万円/自宅外2万・3万・4万・5万・6万円(最高月額は基準を満たす場合) |
| 第二種 | 利息付き | 2万〜12万円(1万円単位で選択) |
| 入学時特別増額貸与奨学金 | 利息付き | 10万・20万・30万・40万・50万円から選択(初回振込時に一括) |
(出典:JASSOデータ集/第二種奨学金の貸与月額/2026年度 保証料月額(目安)専修学校)
注意点は2つ。振込は入学後なので入学金には使えないこと、そして保証人を立てるか機関保証を選ぶ必要があることです。保証人を頼めない場合は機関保証を選べば申し込めます。無利息の第一種の詳細は第一種奨学金とは、審査に落ちた場合の対処は奨学金に落ちる確率は?、利用者の割合は奨学金を利用している学生は何人に1人?をご覧ください。
4. 国の教育ローン(日本政策金融公庫)
保護者が借りるローンで、入学前に使えるのが奨学金との最大の違いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 融資限度額 | 子ども1人につき350万円(自宅外通学などの要件に該当すれば450万円) |
| 金利 | 年4.05%(固定・令和8年7月1日現在)。母子・父子家庭や世帯年収200万円以内などは年3.65% |
| 返済期間 | 20年以内。在学中は利息のみの返済も可 |
| 世帯年収の上限 | 子ども1人790万円、2人890万円、3人990万円(給与所得者の場合) |
| 対象校 | 修業年限3か月以上の教育施設。専修学校・各種学校も対象 |
| 資金使途 | 入学金・授業料のほか、受験費用・住居費用・教材費・通学費など |
(出典:日本政策金融公庫 国の教育ローン ご利用条件や金利・ご返済方法/同 教育一般貸付)
JASSOの奨学金と併用でき、公庫は「必要時期の2〜3か月前の申込」を勧めています。秋に合格が決まったら、入学金の納付期限から逆算して早めに動きましょう。
5. 学費保証サービス(分割納付)
学校が導入している場合に使えるのが学費保証サービスです。保証会社が学校に対して学費の支払いを保証することで、本来一括で納める学費を学校が指定した回数の分割払いにできます。全保連の「Z-College support」は、電子申込で審査を受け、口座振替を登録して電子契約を結ぶ流れで、学校から案内された場合に利用できます(出典:全保連 学費保証 Z-College support 学生様へ)。
奨学金やローンのように「借りる」のではなく、「払い方を分ける」仕組みです。保証委託料などの費用は学校・プランごとに異なるため、案内があったら条件を確認してください。仕組みの詳細は学費保証とは?で解説しています。
学費を自分で払うことはできる?
「親に頼れないので学費を自分で払いたい」という相談も多くあります。結論として、修学支援新制度+貸与奨学金+アルバイトの組み合わせで自力進学している学生は実際にいます。ただし入学金と前期分は入学前に必要なので、高校在学中の貯金や教育ローン、学費保証による分割の活用が現実的な準備になります。具体的な組み立て方は専門学校の学費を自分で払うことはできる?で解説しています。
よくある質問
Q. 専門学校の学費は2年間でいくらかかりますか?A. 東京都内の私立専門学校(昼間部)では初年度平均130.1万円、2年目は入学金(平均18.1万円)を除いた額が目安です。分野差が大きいため、必ず志望校の募集要項で2年間(または3年間)の総額を確認してください。
Q. 公立の専門学校は安いですか?A. 一般に私立より学費は抑えめですが、学校数が少なく分野も限られます。修学支援新制度の減免上限も国公立と私立で異なります(専修学校・第Ⅰ区分:国公立は入学金7万円・授業料17万円、私立は入学金16万円・授業料59万円)。
Q. 学費の支払いが1か月遅れたらすぐ除籍になりますか?A. 学校の規程によりますが、通常は督促や相談の期間を経てから除籍の手続きに進みます。遅れそうな時点で学校へ連絡し、分納・延納を相談することが重要です。詳しくは専門学校の学費が払えないとどうなる?をご覧ください。
Q. 奨学金の入金は間に合いますか?A. 予約採用でも初回振込は入学後です。入学金や前期分には間に合わないため、入学前の資金は教育ローン・貯蓄・学費保証による分割などで準備する必要があります。
Q. 修学支援新制度はどの専門学校でも使えますか?A. 文部科学省の確認を受けた「支援対象校」に限られます。対象校は文部科学省のサイトで公表されているので、志望校が含まれているか確認してください(出典:文部科学省 高等教育の修学支援新制度)。
まとめ
- 専門学校の初年度納付金は東京都内の私立・昼間部で平均130.1万円(令和6年度)。理学療法・作業療法や製菓などは170万円超、医療秘書や介護福祉などは115万円前後
- 内訳は入学金・授業料・実習費・設備費・その他。実習の多い分野ほど実習費で差がつく
- 支払いは合格後の入学手続き時に集中し、奨学金の振込は入学後なので入学前の資金計画が要
- 払えないときは①学校に分納・延納を相談 ②修学支援新制度(専門学校も対象・私立は授業料最大59万円減免) ③JASSO奨学金 ④国の教育ローン ⑤学費保証サービスを組み合わせる
- 相談も申込も納付期限の前に動くのが鉄則
学費は「いくらか」だけでなく「いつ・どう払うか」まで決めて初めて計画になります。志望校の募集要項で金額と納付期限を確認し、使える制度を早めに洗い出しておきましょう。
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