進学を機に一人暮らしを始める専門学生が、いちばん知りたいのは「結局いくら用意すればいいのか」です。公的な調査の数字から、先に結論をまとめます。
- 一人暮らし(下宿・アパートなど)の専門学生の生活費は年間約126.5万円、月にすると約10.5万円。このうち住居・光熱費が約4.6万円、食費が約2.4万円(日本学生支援機構の調査をもとに編集部計算)
- 部屋を借りるときは、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証料・火災保険などの初期費用がまとめてかかる。家賃5万円・敷金礼金各1か月の例では、保証料などを除いても約17.8万円(編集部計算)
- 親が保証人になれない・頼める人がいない場合は、家賃保証会社を利用するのが一般的な方法。国には家賃保証会社の登録制度がある
以下で、毎月の生活費の内訳、初期費用の項目、入学前に必要な総額の考え方を順に解説します。仕送りなしでどうやりくりするかは仕送りなしで専門学生は一人暮らしできる?で詳しく紹介しています。
【早見表】専門学生の一人暮らしにかかるお金
| 種類 | 目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 毎月の生活費(学費を除く) | 約10.5万円 | JASSO 令和6年度調査・アパート等の専門学生(年126.5万円÷12、編集部計算) |
| うち住居・光熱費 | 約4.6万円 | 同上(家賃と光熱費の合計) |
| うち食費 | 約2.4万円 | 同上 |
| 部屋を借りるときの初期費用 | 家賃5万円の例で約17.8万円+保証料・火災保険・鍵交換など | 敷金・礼金各1か月、仲介手数料は原則の上限、前家賃1か月で編集部計算 |
| 学費(1年目) | 東京都の私立専門学校の初年度納入金平均は約132万円 | 東京都専修学校各種学校協会(令和7年度・昼間部) |
金額は全国平均や一例です。家賃は地域で大きく変わるので、住む予定の地域の相場に置き換えて計算してください。
毎月の生活費はいくら?専門学生の平均と内訳
日本学生支援機構(JASSO)は、専門学校生の生活費を隔年で調査しています。最新の令和6年度調査(2024年11月実施)では、自宅以外の「下宿・アパート・その他」に住む専門学生の生活費は年間126万5,000円でした。月額に直した内訳は次のとおりです。
| 項目 | 年額 | 月額(編集部計算) |
|---|---|---|
| 住居・光熱費 | 556,000円 | 約46,300円 |
| 食費 | 292,500円 | 約24,400円 |
| その他の日常費(通信費など) | 200,800円 | 約16,700円 |
| 娯楽・し好費 | 156,500円 | 約13,000円 |
| 保健衛生費 | 59,200円 | 約4,900円 |
| 生活費 合計 | 1,265,000円 | 約105,400円 |
(出典:日本学生支援機構「令和6年度専門学校生生活調査 調査結果の概要等」。月額は年額÷12の編集部計算)
同じ調査で、自宅から通う専門学生の生活費は年48万6,200円(月約4.1万円)、学生寮は年103万円(月約8.6万円)です。一人暮らしをすると、自宅通学より生活費が年間約78万円多くかかる計算になります(編集部計算)。差の大部分は住居・光熱費と食費です。
なお、この調査では学費も別に集計されていて、アパート等に住む専門学生の学費は年108万8,100円、学費と生活費の合計は年235万3,100円でした。
家賃の平均は?
JASSOの調査は「住居・光熱費」をまとめて集計しているため、家賃だけの平均は出ていません。参考として、全国大学生活協同組合連合会の2025年の調査では、一人暮らしの大学生(下宿生)の1か月の住居費は55,452円でした(全国大学生協連「第61回学生生活実態調査 概要報告」。大学生の数値)。
家賃は地域差が大きい費用です。部屋を探すときは、家賃に管理費・共益費を足した額を毎月の住居費として考えましょう。光熱費や通信費も毎月かかるので、家賃だけで予算を使い切らないことが大切です。
食費の平均は?
JASSOの調査では、一人暮らしの専門学生の食費は年29万2,500円、月にすると約2.4万円です(編集部計算)。全国大学生協連の調査では、大学生の下宿生の食費は月29,853円で、前年より3,743円増えています。物価高で食費は上がる傾向にあるため、月2.5万〜3万円を見込んでおくと安心です。
自炊と学食・コンビニの組み合わせ方は、専門学校の昼ごはんを月1万円以下にする節約術も参考にしてください。
生活費は何でまかなっている?
JASSOの同じ調査で、アパート等に住む専門学生の年間の収入は平均236万4,500円。内訳は、家庭からの支援107万3,700円、奨学金64万3,000円、アルバイト48万4,500円、定職収入・その他16万3,300円でした(JASSO「令和6年度専門学校生生活調査」集計表)。アルバイト収入を月にすると約4万円です(編集部計算)。
専門学校は授業や実習が多く、アルバイトに使える時間が限られがちです。家族からの支援が少ない、またはない場合のやりくりは仕送りなしで専門学生は一人暮らしできる?で解説しています。
部屋を借りるときの初期費用の内訳
一人暮らしを始めるとき、最初にまとまったお金が必要になるのが賃貸契約の初期費用です。主な項目と、知っておきたいルールを整理します。
| 項目 | 内容 | 目安・ルール |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃の滞納や、借りた人の過失による傷の修理費に備えて預けるお金 | 物件により0〜家賃数か月分。退去時に未払いや修理費を差し引いて返還される |
| 礼金 | 貸主に支払うお礼のお金 | 物件により0〜家賃数か月分。返ってこない |
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料 | 借主が払うのは原則、家賃の0.5か月分+消費税まで(借主が承諾した場合は1か月分+消費税まで) |
| 前家賃・日割り家賃 | 入居月の家賃(日割り)と翌月分の家賃 | 入居日によって変わる |
| 家賃保証会社の保証料 | 保証会社に家賃の支払いを保証してもらう費用 | 会社・プランにより異なる。更新時に費用がかかる契約もある |
| 火災保険料 | 部屋の家財や、火事・水漏れで建物に損害を与えたときの補償 | 契約の条件になっていることがある |
| 鍵交換費用 | 前の入居者から鍵を交換する費用 | 物件により異なる |
仲介手数料の上限は、国土交通省の告示で決められています。居住用の部屋の場合、不動産会社が借主から受け取れる報酬は、依頼の際に承諾を得ていなければ家賃の0.5か月分(+消費税)までです(出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」)。見積もりで1か月分になっていたら、契約前に理由を確認しましょう。
敷金は、2020年4月施行の改正民法で、退去時に未払いの家賃などを差し引いた残りを返すものとルールが明確になりました(出典:国土交通省「住宅の賃貸借契約に関連する民法改正の概要」)。普通に暮らしていてできる傷みや古くなったことによる劣化の修理費は、原則として貸主の負担です(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)。入居時に部屋の傷を写真で残しておくと、退去時のトラブルを防げます。
家賃5万円の場合の計算例
家賃5万円、敷金・礼金各1か月、仲介手数料は原則の上限、月初入居で翌月分の家賃を前払いする、という条件で計算すると次のようになります(編集部計算)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 敷金(1か月) | 50,000円 |
| 礼金(1か月) | 50,000円 |
| 仲介手数料(0.5か月+消費税10%) | 27,500円 |
| 翌月分の家賃 | 50,000円 |
| 小計 | 177,500円 |
| 保証料・火災保険料・鍵交換費用 | 物件・会社により異なる(見積もりで確認) |
ここに入居月の家賃、引っ越し代、家具・家電、生活用品の購入費が加わります。敷金・礼金が0円の物件なら初期費用は大きく下がりますが、そのぶん退去時の費用や家賃が高めに設定されていないかも確認しましょう。部屋探しを始める時期や、入学前の混み合う時期の動き方は専門学生の部屋探しはいつから?で解説しています。
保証人がいない・親が保証人になれないときは?
賃貸契約では、家賃を払えなくなったときに代わりに払う「連帯保証人」を求められることがあります。学生の場合は親に頼むのが一般的ですが、親が高齢・年金生活・収入が不安定などの理由で保証人になれない、そもそも頼める家族がいない、というケースも少なくありません。
家賃保証会社を利用する
その場合に使われるのが家賃保証会社(家賃債務保証業者)です。保証料を払うことで、保証会社が連帯保証人の代わりに家賃の支払いを保証します。保証会社の利用を契約の条件にしている物件もあるので、部屋探しの段階で確認しておきましょう。
国土交通省は、一定の基準を満たす家賃保証会社を登録・公表する「家賃債務保証業者登録制度」を設けていて、登録事業者は125者です(令和8年9月30日時点)。登録は任意の制度ですが、保証会社を選ぶ判断材料として使えます(出典:国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」/「登録家賃債務保証業者一覧」)。
保証会社を使うときは、次の点を見積書や重要事項説明で確認しましょう。
- 契約時に払う保証料と、1年ごとなどの更新時にかかる費用
- 保証の範囲(家賃のほか、退去時の費用なども含むか)
- 審査に必要な書類(学生証、合格通知、親の同意書など)
- 緊急連絡先として、家族などの連絡先が必要か
親が保証人になる場合は「極度額」に注意
2020年4月施行の改正民法により、個人が賃貸の連帯保証人になる場合は、保証する上限額(極度額)を書面で決めないと保証契約が無効になります(出典:国土交通省「住宅の賃貸借契約に関連する民法改正の概要」)。国土交通省のQ&Aでも、連帯保証人との保証契約が成立しない場合には家賃債務保証業者の利用が案内されています(出典:国土交通省「民法改正を受けた賃貸住宅標準契約書Q&A」)。
家族に保証人を頼むときは、極度額がいくらになるのかを家族と一緒に確認しておきましょう。人が保証人になる仕組みと、保証会社を使う場合との違いは人的保証とは?奨学金と賃貸それぞれの仕組みで解説しています。奨学金を借りる場合も、保証人を立てるか保証機関を使うかを選ぶ必要があります。考え方は奨学金の機関保証と人的保証はどっちがいい?をご覧ください。
入学前に必要なお金の総額は?
一人暮らしをする専門学生が、入学前に用意する必要があるお金は、大きく次の4つです。
- 学費の入学時納付分:入学金と、前期分などの学費。東京都の私立専門学校(昼間部)の初年度納入金は平均約132万円(令和7年度、出典:東京都専修学校各種学校協会「学費と生活費」)。いつ・いくら払うかは学校によって違う
- 部屋の初期費用:家賃5万円の例で約17.8万円+保証料・火災保険・鍵交換など(編集部計算)
- 引っ越し代と家具・家電・生活用品:実家からの距離や、持っていく物で変わる
- 最初の1〜2か月の生活費:月約10.5万円が目安(編集部計算)
注意したいのは、奨学金は進学前には振り込まれないことです。日本学生支援機構の奨学金は入学後に初回の振り込みがあるため、入学金や部屋の初期費用には間に合いません。入学前のお金が足りないときの方法は奨学金は入学金に間に合わない?入学前のお金を用意する4つの方法で、学費の支払い時期は専門学校の学費はいつ払う?で詳しく解説しています。
1年目にかかるお金の全体像
JASSOの調査をもとに、アパート等に住む専門学生の1年間を見ると、学費約108.8万円+生活費約126.5万円=約235.3万円です。1年目はこれに部屋の初期費用や引っ越し・家具家電の費用が上乗せされます。学費は分野や学校によって大きく違うので、志望校の金額は専門学校の学費はいくら?分野別の相場で確認してください。
一人暮らしの費用を抑える3つのポイント
1. 学生寮も比較する
JASSOの調査では、学生寮に住む専門学生の生活費は年103万円で、アパート等(年126.5万円)より年約23.5万円少ない結果でした(編集部計算)。学校の寮や提携寮は、初期費用が抑えられたり家具付きだったりすることもあります。食事付きかどうか、門限などのルールも含めて比べてみましょう。
2. 家賃は「通学費とセット」で考える
家賃の安い郊外を選ぶと、通学の交通費と時間が増えます。専門学校は朝から夕方まで授業や実習が続くことが多く、課題やアルバイトの時間も必要です。家賃と通学定期代の合計、そして通学時間で比べるのが失敗しないコツです。
3. 初期費用は見積もりの段階で確認する
仲介手数料が上限どおりか、礼金0円の代わりに別の費用が上乗せされていないか、入らなくてもよいオプション(消毒料、サポート会員など)が含まれていないかを、契約前に確認しましょう。説明があいまいな項目は、何の費用か質問してかまいません。
一人暮らしの家事や時間のやりくりで大変になりやすい点は、専門学生の一人暮らしはきつい?もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 専門学生の一人暮らしは、月いくらあれば生活できますか?A. 日本学生支援機構の調査では、アパート等に住む専門学生の生活費は月約10.5万円です(編集部計算)。家賃が安い地域や学生寮ならこれより少なく、都市部で家賃が高ければ多くなります。まずは家賃(管理費込み)に、食費2.5万〜3万円と光熱費・通信費を足して見積もりましょう。
Q. 一人暮らしの初期費用は、家賃の何か月分を用意すればいいですか?A. 敷金・礼金の有無で大きく変わります。家賃5万円・敷金礼金各1か月の例では、保証料などを除いて約17.8万円(家賃の約3.6か月分)でした(編集部計算)。これに保証料・火災保険・鍵交換、引っ越し・家具家電の費用が加わります。
Q. 親が保証人になれないと部屋は借りられませんか?A. 家賃保証会社を利用すれば、保証人がいなくても契約できる物件があります。保証料や審査書類、緊急連絡先の要否を、不動産会社に確認しましょう。
Q. 奨学金で一人暮らしの初期費用をまかなえますか?A. 奨学金は入学後に振り込まれるため、入学前に払う初期費用には間に合いません。入学前は家族の支援や貯金、国の教育ローンなどで用意し、入学後の生活費に奨学金をあてるのが現実的です。
Q. 一人暮らしの食費を抑えるコツはありますか?A. 自炊の回数を増やすこと、学校に持っていく昼ごはんを用意することが効果的です。食費は物価高で上がりやすいので、予算は少し多めに見ておき、余った分を貯金に回すと安心です。
まとめ
- 一人暮らしの専門学生の生活費は月約10.5万円(年126.5万円)。うち住居・光熱費約4.6万円、食費約2.4万円(JASSO令和6年度調査をもとに編集部計算)
- 部屋の初期費用は、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証料・火災保険・鍵交換。仲介手数料は原則、家賃の0.5か月分+消費税まで。家賃5万円の例で保証料などを除き約17.8万円
- 保証人がいない・親がなれない場合は家賃保証会社を利用する。国の登録制度も判断材料になる。親が保証人になるなら極度額を確認
- 入学前には、学費の入学時納付分・部屋の初期費用・引っ越しと家具家電・当面の生活費が必要。奨学金は入学前には振り込まれない
- 学生寮は生活費が年約23.5万円少ない。家賃は通学費とセットで比べる
数字は平均や一例です。住む地域と志望校の金額で計算し直し、家族と早めに相談しておきましょう。仕送りなしでのやりくりは仕送りなしで専門学生は一人暮らしできる?をご覧ください。
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