第一種奨学金とは、日本学生支援機構(JASSO)が扱う「無利子」の貸与奨学金です。借りたお金を卒業後に返す必要はありますが、利子が一切つかないため、返す総額=借りた総額で済みます。
そのぶん、有利子の第二種奨学金より学力・家計の基準は厳しめに設定されています。この記事では、第一種奨学金の仕組み、いくら借りられるか、採用基準、第二種との違いを、JASSO公式の2026年度情報をもとに初めての人にもわかるように解説します。
第一種奨学金とは——「無利子で借りる」奨学金
JASSOの学生向け奨学金は、大きく次の3種類に分かれます。
| 種類 | 返還 | 利子 |
|---|---|---|
| 給付奨学金 | 返還不要 | — |
| 第一種奨学金 | 返還必要 | 無利子 |
| 第二種奨学金 | 返還必要 | 有利子(年3.0%上限) |
第一種はこのうち「返す必要はあるが、利子はゼロ」という位置づけです。
「無利子」の意味——返す総額が増えない
たとえば月5万円を4年間(48か月)借りると、貸与総額は240万円です。第一種なら返す総額も240万円のまま。一方、有利子の第二種では、貸与終了時に決まる利率に応じた利子が上乗せされます(在学中は第二種も無利子。出典:JASSO 第二種奨学金の利子と利率の算定方法)。
借りる学生にとって、同じ金額なら第一種のほうが確実に有利です。だからこそ基準が厳しく、「まず第一種に申し込み、届かなければ第二種」という順番で検討するのが基本になります。
給付型との違い
返還不要の給付奨学金(高等教育の修学支援新制度)は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象で、家計基準が第一種よりずっと厳しい制度です。どんな世帯が対象になるかは給付型奨学金はもらえる確率どれくらい?で解説しています。
第一種奨学金はいくら借りられる?(貸与月額)
貸与月額は、進学先の設置者(国公立/私立)と通学形態(自宅/自宅外)で選べる金額が決まっています(平成30年度以降入学者。出典:JASSO 第一種奨学金の貸与月額)。
| 進学先 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
|---|---|---|
| 大学(国公立) | 2万・3万・4.5万円 | 2万・3万・4万・5.1万円 |
| 大学(私立) | 2万・3万・4万・5.4万円 | 2万・3万・4万・5万・6.4万円 |
| 短大・専門学校(国公立) | 2万・3万・4.5万円 | 2万・3万・4万・5.1万円 |
| 短大・専門学校(私立) | 2万・3万・4万・5.3万円 | 2万・3万・4万・5万・6万円 |
注意点が2つあります。
- 各区分で一番大きい金額(最高月額)は、家計収入が一定額以下の世帯だけが選べます
- 給付奨学金と併用する場合は、支援区分に応じて第一種の貸与月額が制限(併給調整)されます(出典:JASSO 併給調整)
「借りられる上限」ではなく「必要な額だけ借りる」のが鉄則です。月5万円と月3万円では、卒業時の返還総額が約100万円変わります。
第一種と第二種の違いを比較表でチェック
| 項目 | 第一種 | 第二種 |
|---|---|---|
| 利子 | なし | あり(在学中は無利子・年3.0%上限) |
| 貸与月額 | 2万〜6.4万円(進学先で選択肢が固定) | 2万〜12万円から1万円刻みで自由に選択※ |
| 学力基準(高3・予約採用) | 評定平均3.5以上(緩和措置あり) | 平均水準以上・学修意欲などでも可 |
| 家計基準(給与世帯4人・目安) | 年収約880万円以下 | 年収約1,309万円以下 |
| 併用 | 第一種+第二種の併用貸与も可能(基準はさらに厳しい) | 同左 |
※私立大の医・歯学課程は最大16万円、薬・獣医学課程は最大14万円まで増額可(出典:JASSO 第二種奨学金の貸与月額、第二種の学力基準、家計基準の目安はJASSO 第一種奨学金の家計基準・在学採用)
まとめると、第一種は「有利だが狭き門」、第二種は「利子はつくが間口が広い」という関係です。
第一種奨学金の採用基準
学力基準——高3は「評定平均3.5以上」が目安
- 予約採用(高校3年生で申し込む場合):高校の全履修科目の評定平均値が5段階で3.5以上であることが基本です。ただし、住民税非課税世帯(貸与額算定基準額0円)・生活保護世帯・児童養護施設出身者などは、3.5未満でも学校の推薦により申し込めます(出典:JASSO 第一種奨学金の学力基準・予約採用)
- 在学採用(進学後に申し込む場合):1年生は高校の評定平均3.5以上(専修学校出身は3.2以上)、2年生以上は学部内の成績上位3分の1程度が目安です。こちらも非課税世帯等には緩和措置があります(出典:同・在学採用)
家計基準——4人世帯なら年収約880万円が目安
家計基準は、生計維持者(原則父母)の住民税情報から計算する「貸与額算定基準額」で審査されます。給与所得世帯の年収目安は次のとおりです(出典:JASSO 第一種奨学金の家計基準・在学採用(大学))。
| 世帯人数 | 第一種の年収目安 | (参考)第二種の年収目安 |
|---|---|---|
| 3人世帯 | 約732万円 | 約1,127万円 |
| 4人世帯 | 約880万円 | 約1,309万円 |
| 5人世帯 | 約972万円 | 約1,387万円 |
あくまで目安で、実際は世帯構成や控除により変わります。進学資金シミュレーター(JASSO公式)で事前に確認しておきましょう。
申し込み時に決める「保証制度」——人的保証か機関保証か
第一種に申し込むときは、返還を保証する方法を次の2つから選びます。
- 人的保証……連帯保証人(原則父母)と保証人(4親等以内の親族等)を自分で立てる。保証料は不要
- 機関保証……保証機関が連帯保証する。保証料を毎月の貸与額から差し引かれるが、保証人を頼む必要がない
JASSOのデータ集(令和8年1月)によると、令和6年度の採用者の56.09%が機関保証を選択しており、いまや機関保証が多数派です。保証料の金額感は奨学金の機関保証の保証料は高い?で、仕組みそのものは機関保証とはで詳しく解説しています。
なお、返還方式で「所得連動返還方式」(卒業後の所得に応じて月々の返還額が決まる方式。第一種のみ選択可)を選ぶ場合は、機関保証への加入が必須です。ここも第二種にはない第一種の特徴です。
返還はいつから?月々いくら?
返還が始まるのは貸与終了(卒業)の7か月後からです。第一種の返還方式は2つあります。
- 定額返還方式……毎月一定額を返す。借りた総額と月額から返還年数が決まる
- 所得連動返還方式……前年の所得に応じて毎月の返還額が変わる。収入が少ない年は返還額も少なくなる
具体的な月々の返還額は、JASSOの奨学金貸与・返還シミュレーションで借りる前に必ず試算しておきましょう。返せなくなったときの減額返還・返還期限猶予といった救済制度もあります。
よくある質問
Q. 第一種に落ちたらどうすればいいですか?A. 学力・家計のどちらの基準で落ちたかを確認したうえで、第二種への申し込みや在学採用での再挑戦を検討しましょう。詳しくは奨学金の審査に落ちる確率は?落ちる理由と対処法をご覧ください。
Q. 第一種と第二種は併用できますか?A. できます(併用貸与)。ただし家計基準は第一種単独より厳しくなります(4人世帯の年収目安:約826万円)。借りすぎにもつながりやすいため、返還総額を試算してから判断してください。
Q. 給付奨学金と第一種は同時に受けられますか?A. 受けられますが、給付の支援区分に応じて第一種の貸与月額が制限(併給調整)されます。区分によっては第一種の貸与額が0円になる場合もあります。
Q. 大学の途中からでも申し込めますか?A. 申し込めます。在学採用として学校を通じて申請します。募集時期・締切は学校ごとに異なるため、在籍校の奨学金窓口で確認してください。
まとめ
- 第一種奨学金はJASSOの無利子の貸与奨学金。返す必要はあるが、利子がつかないため返還総額が増えない
- 貸与月額は2万〜6.4万円(進学先・通学形態で選択肢が決まり、最高月額には家計要件あり)
- 基準は評定平均3.5以上(高3)・4人世帯で年収約880万円以下が目安。非課税世帯等には学力基準の緩和がある
- 第二種は間口が広い代わりに有利子(上限年3.0%)。まず第一種、届かなければ第二種の順で検討する
- 保証制度は人的保証と機関保証の二択で、採用者の56.09%(令和6年度)が機関保証を選んでいる
無利子というメリットの大きさは、借りる金額が大きいほど効いてきます。基準に届きそうなら、シミュレーターで試算のうえ第一種から検討してみてください。
※本メディア「スクモア」は、機関保証・家賃保証事業を行う全保連株式会社が運営しています。

