日本学生支援機構の奨学生として採用された場合、返還誓約書や保証人の収入・資産状況を証明する返還保証書など、必要な書類が多くあります。
本記事では、返還誓約書や添付する必要書類、書類を提出する前にチェックするポイントについて解説します。
奨学金の採用後に必要な返還誓約書とは

返還誓約書は借用金額、保証関係や今後の返還方法を確認するために必要な契約書のひとつです。
提出する際には、各学校の指示に従って必要事項を漏れなく記入押印し、必要書類を添付した上で学校から指定された期限までに提出します。
なお、第一種奨学金と第二種奨学金を共に貸与された併用貸与者の場合、それぞれの返還誓約書と添付書類が必要です。
参照元:返還誓約書の提出 | JASSO
返還誓約書に添付する書類
返還誓約書に添付する書類は、機関保証・人的保証のどちらを選択するかによって異なります。
返還誓約書に添付する必要書類は以下のとおりです。
必要書類名 | 機関保証選択者 | 人的保証選択者 |
保証依頼書(兼保証委託契約書)※申込時にマイナンバー未提出の奨学生本人のみ | ◯ | – |
本人の市区町村で発行された住民票(コピー不可、マイナンバーの記載が無いもの) | ◯ | ◯ |
連帯保証人の印鑑登録証明書(コピー不可) | – | ◯ |
連帯保証人の収入に関する証明書類(コピー不可) (例:源泉徴収票、市区町村発行の所得証明書等) | – | ◯ |
保証人の印鑑登録証明書(コピー不可)※申込時にマイナンバー未提出の奨学生本人のみ※還誓約書に印字された誓約日(スカラネット入力日)から3か月前以降に発行されたもの | – | ◯ |
返還保証書※連帯保証人・保証人に4親等以内の親族でない方、保証人に65歳以上の方を選任する場合 | – | ◯ |
資産等に関する証明書(コピー不可)※連帯保証人・保証人に4親等以内の親族でない方、保証人に65歳以上の方を選任する場合 | – | ◯ |
万が一返還誓約書の印字内容に誤りがある場合、返還誓約書の訂正だけでなく「返還誓約書記載事項訂正届」の添付も必要です。
参照元:【採用候補者の方】返還誓約書に添付する書類について知りたい
保証人・連帯保証人の資産等を証明する返還保証書とは?

人的保証を選択し、連帯保証人・保証人に4親等以内の親族でない人を選んだ場合や保証人に65歳以上の人を選んだ場合には、返還保証書の提出が必要です。
返還保証書には保証人・連帯保証人の年収や資産の金額を記載する必要があり、提出する際には記載している金額が正確であることを証明する添付書類も必要です。
返還保証書に添付する資産等に関する証明書とは
返還保証書の提出時には、保証人・連帯保証人の資産等に関する証明書も必要です。
また、給与所得者と給与所得者以外の者で提出する変換保証書が異なるため、それぞれご紹介します。
給与所得者の場合(年間収入が320万円以上)
保証人・連帯保証人が給与所得者の場合に必要な資産等に関する証明書は、以下の基準に応じて異なります。
基準 | 必要な資産等に関する証明書 |
年間収入が320万円以上 | 直近分の源泉徴収票や所得証明書確定申告書の控(税務署の受付の証明があるもの。電子申告の場合は、確定申告書に「受信結果(受信通知:「メ-ル詳細」画面)」又は「即時通知」を添付)など |
預貯金額が貸与予定総額(保証人は貸与予定総額の2分の1)以上 | 金融機関発行の預貯金残高証明書、取引残高報告書(評価額のわかるもの) |
固定資産の評価額が貸与予定総額(保証人は貸与予定総額の2分の1)以上 | 在住市区町村発行の固定資産評価証明書登記事項証明書(全部事項証明書)※固定資産評価証明書に所有者と持分割合(共有名義の場合)が明記されている場合は提出不要 |
給与所得者以外の場合(給与所得が220万円以上320万円未満の場合も含む)
保証人・連帯保証人が給与所得者以外の場合に必要な資産等に関する証明書は、以下の基準に応じて異なります。
基準 | 必要な資産等に関する証明書 |
年間所得が220万円以上320万円未満 | 直近分の源泉徴収票や所得証明書確定申告書の控(税務署の受付の証明があるもの。電子申告の場合は、確定申告書に「受信結果(受信通知:「メ-ル詳細」画面)」又は「即時通知」を添付)など |
預貯金額が貸与予定総額(保証人は貸与予定総額の2分の1)以上 | 金融機関発行の預貯金残高証明書、取引残高報告書(評価額のわかるもの) |
固定資産の評価額が貸与予定総額(保証人は貸与予定総額の2分の1)以上 | 在住市区町村発行の固定資産評価証明書登記事項証明書(全部事項証明書)※固定資産評価証明書に所有者と持分割合(共有名義の場合)が明記されている場合は提出不要 |
必要書類提出前のチェックリスト

最後に、奨学金の書類提出前に不備がないようにチェックするべき項目をご紹介します。
機関保証選択者・人的保証選択者に分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
【機関保証選択者】
- 申込時にマイナンバー提出済の奨学生本人欄の住所は、現住所か(住民票の添付は不要)
- 申込時にマイナンバー未提出の奨学生本人欄の住所は、住民票の表記と同じか(住民票の添付が必要)
- 奨学生本人、(奨学生本人が未成年者の場合)親権者及び本人以外の連絡先欄は、その人が署名しているか(筆跡はそれぞれ別々か)
- 返還の条件について、割賦方法を選択したか。
- 全ての書類において、黒または青の消せないペンで記入・署名されているか
【人的保証選択者】
- 申込時にマイナンバー提出済の奨学生本人欄の住所は、現住所か(住民票の添付は不要)
- 申込時にマイナンバー未提出の奨学生本人欄の住所は、住民票の表記と同じか(住民票の添付が必要)
- 奨学生本人、連帯保証人、保証人、(奨学生本人が未成年者の場合)親権者欄は、その人が署名しているか(筆跡はそれぞれ別々か)
- 連帯保証人、保証人欄に押印はあるか
- 連帯保証人と保証人の印鑑は、添付する印鑑登録証明書の印影と同じか
- 連帯保証人の「収入に関する証明書類」は、連帯保証人のものか(氏名は一致しているか)
- 返還の条件について、割賦方法を選択したか
- 全ての書類において、黒または青の消せないペンで記入・署名されているか
チェックする点はさまざまですが、起こり得る書類のミスとして、マイナンバーや住民票記載の住所と申請書類記載の住所が相違していることや奨学生自身が誤って全ての書類を記入してしまうなどが考えられるでしょう。申請書類に不備があると、奨学金の審査が通らず学費が支払えなくなるといったリスクがあります。
また、必要書類提出前には、上記で紹介している内容のチェックだけでなく、そもそも必要書類が揃っているかなども確認することも大切です。
まとめ
本記事では、奨学生が採用された後に必要な返還誓約書や返還保証書、添付が必要な書類などについて解説しました。
提出する必要書類の種類やその記載方法などは自身の申し込み内容に応じて異なります。提出前に書類が揃っているか、正しく記載されているかチェックし、スムーズに奨学金が交付されるようにしましょう。