奨学金の連帯保証人とは?保証人との違い・条件・頼めないときの対処法を解説

奨学金の 連帯保証人 保証人との違い・条件・頼めないとき

奨学金を「人的保証」で申し込むときは、連帯保証人と保証人の2人を立てる必要があります。このうち連帯保証人は、原則として父母が引き受けるもので、返還が滞ったときに本人と同じ責任を負う立場です。

「保証人と何が違うの?」「親以外に頼めるの?」「頼まれたけど引き受けて大丈夫?」——この記事では、日本学生支援機構(JASSO)の2026年度の条件をもとに、連帯保証人について借りる側・頼まれる側の両方の視点から整理します。


目次

奨学金の連帯保証人とは

連帯保証人とは、奨学金を借りた本人が返還できなくなったときに、本人に代わって返還する義務を負う人のことです。

JASSOの貸与奨学金(第一種・第二種)を申し込むときは、次の2つの保証制度からどちらかを選びます。

保証制度内容保証料
人的保証連帯保証人と保証人を自分で立てる不要
機関保証保証機関(公益財団法人 日本国際教育支援協会)が連帯保証する必要(毎月の貸与額から差し引き)

連帯保証人が登場するのは、このうち人的保証を選んだ場合です。人的保証では連帯保証人と保証人の2人が必要で、1人だけでは申し込みできません。

なお、所得連動返還方式(大学院修士段階の授業料後払い制度を含む)を利用する場合は、機関保証への加入が必須です。人的保証は選べません。

人的保証そのものの仕組みは人的保証とは?でも詳しく解説しています。


連帯保証人と保証人は何が違う?

同じ「保証」でも、連帯保証人と保証人では責任の重さがまったく違います。ここを理解しないまま引き受けてしまうケースが多いので、最初に押さえておきましょう。

連帯保証人には「断る権利」がない

保証人には民法上、次の3つの権利があります。連帯保証人には、これらがありません

権利内容保証人連帯保証人
催告の抗弁権「先に本人に請求してください」と言える×
検索の抗弁権「本人に財産があるので先にそちらから回収して」と言える×
分別の利益保証人が複数いる場合、頭数で割った分だけ負担すればよい×

つまり連帯保証人は、本人に支払い能力があるかどうかに関係なく、請求されたら全額を支払う義務があるということです。「まず本人に言ってください」という主張が通りません。

具体例で見る違い

たとえば返還額が300万円残っている状態で延滞したとします。

  • 連帯保証人:300万円全額を請求される。本人に収入があっても「本人に請求して」とは言えない
  • 保証人:連帯保証人と2人いるため、分別の利益により150万円が上限(※JASSOの人的保証の場合)

この差があるため、JASSOでは連帯保証人を原則として父母と定めています。


連帯保証人になれる人の条件

連帯保証人には、次の条件がすべて求められます(第一種奨学金・JASSO公式より)。

基本の条件

  • 本人が未成年者の場合は、その親権者(親権者がいない場合は未成年後見人)であること
  • 本人が成年者の場合は、父母、または4親等以内の親族であること
  • 未成年者および学生でないこと
  • 本人の配偶者(婚約者を含む)でないこと
  • 債務整理中(破産等)でないこと
  • 貸与終了時に本人が45歳を超える場合は、その時点で60歳未満であること

原則は父母です。 父母に頼めない事情がある場合に、おじ・おば・祖父母などの4親等以内の親族が候補になります。

4親等以内の親族に頼めない場合

4親等以内の成年親族でない人に連帯保証人を頼む場合は、「返還保証書」の提出に加えて、次のいずれかを満たす必要があります。

  • 年間収入が320万円以上(給与所得者の場合)
  • 年間所得が220万円以上(給与所得者以外の場合)
  • 預金残高+資産の評価額が貸与予定総額以上であること

条件が一段と厳しくなるため、まずは親族の中から探すのが現実的です。

なお、祖父母に頼めるかどうかは年齢が論点になります。詳しくは65歳以上の祖父母は奨学金の保証人対象?をご覧ください。また、そもそも誰がなれて誰がなれないのかは奨学金の保証人の条件でなれない人はいる?で一覧にしています。


連帯保証人を頼まれたときに確認したい3つのこと

ここからは、頼まれた側の視点です。親族から「連帯保証人になってほしい」と言われたとき、引き受ける前に必ず確認しておきたい点を挙げます。

1. 返還総額と毎月の返還額

いくら借りて、卒業後に毎月いくら、何年間返すのか。この3つを数字で共有してもらいましょう。JASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」で試算できます。

貸与総額は、月5万円を2年間借りれば120万円、月8万円を4年間なら384万円になります。利息がつく第二種の場合はさらに増えます。

2. 自分が負う責任の範囲

保証の範囲は元金・利息・延滞金(遅延損害金)、期間は貸与中および返還中の全期間です。返還は卒業後10〜20年に及ぶこともあり、その間ずっと責任が続きます。

3. 本人が返せなくなったときにどうするか

延滞が起きた場合、連帯保証人に一括で請求が来る可能性があります。「そのとき自分は払えるのか」を現実的に考えておく必要があります。

連帯保証人になることのリスクは奨学金の保証人になるリスクは?でも整理しています。引き受けないという判断も、決して薄情なことではありません。次に説明する機関保証という選択肢があるからです。


連帯保証人を立てられない場合は「機関保証」へ

連帯保証人を頼める人がいない、あるいは頼みたくない場合は、機関保証を選べば人を立てずに奨学金を申し込めます。

保証機関である公益財団法人 日本国際教育支援協会が連帯保証する仕組みで、代わりに保証料を支払います。保証料は毎月の奨学金貸与額から差し引かれるため、別途振り込む手間はありません。

保証料の目安(2026年度採用者)

専門学校・短大に進学する場合の目安は次のとおりです。

第一種奨学金(無利息)

区分貸与月額貸与月数保証料月額
国・公立/自宅30,000円24703円
国・公立/自宅外40,000円241,032円
私立/自宅40,000円241,032円
私立/自宅外50,000円241,517円

第二種奨学金(利息付き・貸与月数24の場合)

貸与月額保証料月額
30,000円856円
50,000円1,865円
80,000円3,212円
100,000円4,574円
120,000円5,817円

(出典:JASSO 機関保証制度リーフレット 2026.04

保証料を支払うのは貸与期間中だけで、返還期間中の支払いは不要です。

たとえば私立の専門学校に自宅外から通い、第一種を月5万円・2年間借りる場合、保証料は月1,517円。2年間の合計は約3.6万円です。この金額で連帯保証人を立てずに済むと考えると、選択肢として十分現実的でしょう。

機関保証の詳しい仕組みは奨学金の保証人が不要な機関保証とは?をご覧ください。

注意:機関保証を選んでも返還義務はなくなりません

よくある誤解ですが、保証料を払っていても、奨学金を返すのは本人です。延滞すると保証機関が本人に代わって返還(代位弁済)しますが、その後保証機関から本人に一括で請求が来ます。返さなくてよくなるわけではない点に注意してください。


連帯保証人にも返せなくなったらどうなる?

万一、本人も連帯保証人も返せなくなった場合の流れも知っておきましょう。引き受ける前に一番確認しておくべき部分です。

延滞から請求までの流れ

  1. 本人の返還が滞ると、まず本人に督促が行われます
  2. 滞納が続くと、連帯保証人に対して請求が行われます
  3. さらに滞納が続くと、一括での返還を求められることがあります
  4. 延滞情報が個人信用情報機関に登録されると、本人・連帯保証人ともにクレジットカードや住宅ローンの審査に影響する可能性があります

延滞情報の登録については奨学金の保証人のリスクとは|ブラックリストに載ることもある?で詳しく解説しています。

返還が苦しくなったら「延滞する前に」相談する

JASSOには、返還が困難になったときの救済制度があります。延滞してから動くのではなく、苦しくなりそうな段階で申請するのが重要です。

  • 減額返還:毎月の返還額を減らし、その分返還期間を延ばす制度
  • 返還期限猶予:一定期間、返還を先送りする制度

いずれも申請と審査が必要です。これらを使えば連帯保証人に請求が及ぶ事態を避けられる可能性があります。返還が厳しくなりそうなときの対処は奨学金の返し方は?もあわせてご覧ください。


連帯保証人が亡くなった・変更したい場合

一度決めた連帯保証人は、状況によって変更できます。手続きには届出が必要で、放置すると保証がない状態になってしまうため、該当したら早めに動きましょう。

連帯保証人を別の人に変更する場合

連帯保証人が死亡した、行方不明になった、債務整理を開始したなどの場合は、「連帯保証人・保証人変更届」を提出して別の人に変更します。

  • 貸与中:在学している学校を通じて提出します
  • 返還中:JASSOへ直接提出します

新しく立てる人も、当然ながら本記事で解説した選任条件を満たす必要があります。また、変更届のほかに印鑑登録証明書などの添付書類を求められます。必要書類は状況によって変わるため、まず学校の奨学金窓口またはJASSOへ確認してください。

人的保証から機関保証へ変更できるケース

次の場合には、人的保証から機関保証へ切り替えられます。

  • 連帯保証人または保証人が死亡・行方不明・意識不明・債務整理(破産等)などのやむを得ない理由で保証を続けられなくなった場合
  • 返還方式を所得連動返還方式に変更する場合(平成29年度以降採用者)

ただし変更時には、貸与の始めまでさかのぼって保証料を一括で支払う必要があります。手続きは在学中であれば学校を通じて申し出ます。

機関保証から人的保証への変更はできない

逆方向、つまり機関保証から人的保証への変更はできません。申し込み時の選択は慎重に行いましょう。


よくある質問

Q. 連帯保証人と保証人、両方とも必要ですか?A. 人的保証を選ぶ場合は2人とも必要です。連帯保証人だけ、保証人だけという申し込みはできません。

Q. 父母が連帯保証人になれない場合はどうすればいいですか?A. 4親等以内の親族に依頼するか、機関保証に切り替えます。頼める人が見つからない場合の対処法は奨学金の保証人を依頼できる人がいない!で解説しています。

Q. 連帯保証人に年収の条件はありますか?A. 父母または4親等以内の親族であれば、収入要件はありません。それ以外の人に依頼する場合のみ、年間収入320万円以上(給与所得者)などの条件が加わります。

Q. 保証料は返ってきますか?A. 繰上返還などにより保証期間が短くなった場合、保証料の一部が返戻されることがあります。詳しくは奨学金の機関保証で保証料は返ってくる?をご覧ください。


まとめ

  • 奨学金の人的保証では、連帯保証人と保証人の2人が必要
  • 連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権・分別の利益がなく、請求されたら全額を支払う義務がある
  • 連帯保証人は原則として父母。4親等以内の親族なら収入要件なし、それ以外は返還保証書と収入要件が必要
  • 頼める人がいない場合は機関保証を選べば人を立てずに申し込める。保証料は専門学校・第一種で月703〜1,517円程度(2026年度)
  • 機関保証から人的保証への変更はできないため、申し込み時の判断が重要

連帯保証人を誰にするかは、家族にとって10年以上続く約束になります。金額と期間を数字で共有したうえで、機関保証という選択肢も含めて話し合ってみてください。

ディスクレーマー

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執筆者

大学卒業後、金融機関にてリテール業務・法人融資業務などを経験。現在は金融・ライフスタイル領域を中心に年間1,000記事以上の記事執筆や数百万PVの金融系メディアのディレクションも行っている。

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